Aです。新たなアカデミックイヤーが始まって1ヶ月が経とうとしています。
インターンたちも徐々に仕事に慣れて、日常業務もスムーズになってきました。
以前から書いていますが、外科インターンの業務内容は多岐にわたり、学術的な能力を遥かに超えるものを要求されます。そんなことも感じさせないくらいほど、すぐに順応してゆくインターンの能力の高さ(多くのインターンは、他の医学校を卒業して、病院のシステムをすべて一から学ばないにも関わらず)にはいつものことながら感心させられます。
現在、外傷・救急外科をローテーションしている医学部4年生(最終学年)トム(仮名)は、毎週月曜日から土曜日まで毎日夕方6時半から朝の8時まで夜勤をおこなっています。最終学年の彼はAI (acting intern)として、医学生とインターンの間のような役割を担っているのです。彼は来年度の一般外科レジデントにアプライする予定であり、よりよい推薦状をもらうべく、普通の医学生はしないであろう、1ヶ月夜勤という過酷なローテーションを続けています。
当然のことながら、給料をもらっているわけではありませんが、インターンと同様に、雑用から、患者のケアまで幅広くおこなっています。勤務時間の大部分をインターンと過ごすために、彼らから”授業や教科書では学べない”、日常業務でのサバイバル術を学ぶことになります。インターンたちも前年は自分も同じようなことをしていたのですから、いかにAIを有効に機能させるかはよく心得ています。
彼の仕事としては、
・患者リストのアップデート、データ収集
・病棟の処置(抜糸、傷の処置など)
・カルテの記載(コンピューター)
・回診中のプレゼンテーション、雑用(処置の準備、オーダーなど)
こういったことが可能なのは、それまでの3年間のカリキュラムで、病歴聴取、身体所見の取り方、プレゼンテーションの仕方と中心とした、医師として診療していく上での基本能力がしっかりと身に付いているからです。
医学生なら興味のある症例があれば、当然それについてゆっくり教科書を読んだり、手術を見学したりと、自由に動くことが可能ですが、彼の存在はチームにとって重要であり、時には、雑用優先といった状況もあります。それでも、医学生としてアテンディングから質問にはしっかりと答えなければ、いい評価をもらえませんから、帰宅後は毎日教科書や文献に目を通すとのこと。
この時期、医学部4年生は皆、自分が将来進みたいと考えている科でローテーションをおこなっており、トムと同じように雑用も含めて、医師になる準備をしっかりとおこなっているのです。
米国の卒後トレーニングにおいては、豊富な知識もさることながら、心身ともに”タフ”な人間が、周りの評価を得てゆきます。日本の医学部を卒業してすぐの研修医が、アメリカのインターンに混ざって、頭角を現すのは、至難の業であると思われます。
日本の医学部教育は(さらには、その後の初期研修でも)、この”即戦力”を育てるカリキュラムが欠けていると感じます。”そんなものは働いていくうちにつくから必要ない”、という意見もあるでしょうが、人手不足が深刻な日本の医療現場において、医学部を卒業した後も、お客さん扱いされているような医師で溢れているような状況もどうかと思うのですが。
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