今週は雨の日が続きました。久しぶりに晴れたので、外を走ってみるとすっかり紅葉の時期。実は1週間の休暇をもらっていたのですが、Bは授業、仕事と忙しいために、自分は今までにたまった書類や細かい作業をこなす毎日です。
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2年目の外科研修医であるレズリーは、コンサルトを救急室から受ける当直レジデント。ただでさえ土曜日の忙しい夜なのに、血管外科のコンサルトを受け、憂鬱な気分になっている。なぜなら今晩血管外科当直のDr. Fは、いつもコンサルトの連絡をすると、機嫌が悪くなり、電話越しの対応が非常に乱暴であると有名。コンサルトレジデントの中でも評判が悪い。
患者は70代の女性。慢性腎不全のために透析を受けている。透析に使うシャントの穿刺部位から出血したということで来院。来院時には出血は止まっており、状態も安定している。レズリーは、表面の皮膚から出血しているだけで、今は止まっているから外来でフォローすればいいな、と考え、Dr.Fに連絡。”Dr.F。シャント部位の出血でコンサルトされましたが、出血は止まっているし、表面の皮膚からだと思うので、外来でのフォローアップでいいでしょうか?” Dr.Fは、面倒くさそうに、”いいよ”との返事。
ところが、その10分後、救急室のナースがレズリーに”先生、さっきの患者さん、帰ろうと準備していると、シャントのところから何か拍動性の出血があったらしいです。いまはカーゼで押さえていますが、診てください”
レズリーは”せっかく、Dr.Fへの連絡を済ませたのに!”と、イライラしながら診察。やはり、診察時には若干の出血がガーゼについているものの、表面からのものとしか思えない。
”もう一度 Dr.Fに連絡したら、機嫌悪くなるだろうなー。大丈夫そうだから、このまま帰宅してもらおう”
そんなときに当直のチーフレジデントのジョンが通りかかった。患者の情報をナースから聞いたジョンが、診察すると、シャントの穿刺部が瘤状になり、皮膚から動脈性の出血を繰り返しているということが判明。急いでDr.Fに連絡し、そのまま緊急手術となった。
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医療現場での医療従事者同士や患者との間のコミュニケーション不足が治療成績の低下を招くということは、これまでに多くのデータが証明しています。残念ながら、院長が”コミュニケーションをしっかりしましょう”、と皆に呼びかければ、数ヶ月後には改善している、というような単純な問題ではありません。
アメリカの教育病院においては、アテンディングとレジデントのコミュニケーションを改善させることが最も大切かつ難しい課題であるしょう。実際に、患者のケアやコメディカルとの連絡を取り合うのがレジデントであり、その報告を受けて、レジデントと方針を議論、決定していくのがアテンディングです。
日本の職場で言われるような”ホウレンソウ(報告・連絡・相談)”のアメリカ版をまだ自分は聞いたことがありませんが、略語好きのアメリカ人ですから、絶対に存在すると思います。簡単そうに思える基本的なことが、実際の医療現場ではなかなか徹底されません。”こんなことで夜中の3時に起こされたくないだろうなー”とか”明日の朝に報告すればいいか”といった言葉がレジデントの口から驚くほどよく聞かれます。
そんな難題を解決する試みが、ハーバード大学関連の4病院で行われました。
数ヶ月前のAnnals of Surgeryという雑誌に掲載されています。
彼らは以下の3項目の改善を試みました。
1)患者に関する重要な変化、出来事をレジデントは速やかにアテンディングに報告する
2)定期的(少なくとも1日一回)にレジデントはアテンディングの患者の状態を報告する
3)週末でもアテンディングが患者を自分自身で診察する
えっ、こんな基本的なことがされていないの?と思われる方がほとんどでしょう。
彼らの報告では、介入前には:
1)1/3の頻度で重要な連絡がアテンディングになされておらず
2)15%の頻度で定期的な患者情報のアップデートがアテンディングにされておらず
3)61%の患者が週末にはアテンディングに診察を受けていない
であったようです。
彼らのすごいところは、アイディアはもちろんのこと、4施設に渡って、外科医という”最も人の言うことを聞かない”人種に対して、この”コミュニケーション改善プロとコール”を遵守させようと努力したことです。介入後の結果はというと、レジデントからアテンディングへの報告率は、一様に改善傾向が見られたようですが、33%の患者は未だに週末にアテンディングの診察を受けていなかったようです。
彼らが論文の中で、いかにこのプロトコールを遵守させる努力をしたか、ということに相当なページを費やしていることからも、実はレジデント以上にアテンディングの意識改革が大変なようです。
彼らは論文の初めに以下のような記述をしています。
”アテンディングとレジデントのコミュニケーションを妨げるバリアとしては、診療における自律性を失いたくないレジデントの思い、アテンディングがどういう状況で連絡を受けたいかをレジデントが把握していない、レジデントの知識不足、そして、手間がかかる、が挙げられる”
研修医が夜中にアテンディングへの連絡する時の決まり文句として、
"Dr.~, Sorry for bothering you,....... (夜中に煩わせてすみません)"
アテンディングも仕事でやっているのに、なんで謝らないといけないんだ!
と思いながら自分も言ってます。
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