2011年12月30日金曜日

今年一年を振り返って


Aです。

今年も年末の買い出しに、New Jerseyの日本スーパーMitsuwaまでBと二人で行ってきました。
相変わらずの混雑ぶりで、普段行列や人ごみとは無縁の生活を送っている我々夫婦にとっては大変な一日となりました。ラーメンを待つ列に並び、注文してから食べるまでに一時間以上かかりました。

よくよく考えてみると、小さなフードコートが併設されているごく普通のスーパーマーケットなのに、たまに来ると何とも言えない幸せな気分になるのはなぜなんだろう?

自分なりに今年一年を振り返ってみて思ったこと:
  • アメリカで仕事をすることに年々慣れてきていることは明らか。これらは、医療システム、人間関係の面でひとつの国、さらには施設に長く在籍すれば自然と可能になることと思われる。
  • 上記事実を悪く捉えれば、向上する気持ちが今年は足りなかった。以前はそれを持つ余裕さえなかったが、これからは現状維持や”こなすだけ”の姿勢といった甘えを払拭しなければならない。
  • 同様に、これまではいろいろな意味で(主に研修)受け身になりがちであった。米国での研修、診療のいい面は多く学んできたが、それと同時にその限界や問題点といった悪い面にも敏感になってきている。アメリカで研修を受けてさえいれば医師として成長できるといった"Myth"を信じるものは若い医師が続々と臨床留学している現在ではいないであろう。
  • 渡米以降、半年/1年といった比較的短い期間の目標を立てながらこれまでやってきたが、これからは5年/10年といった長期的な目標をもっと具体的に立てないといけないと最近つくづく感じる。米国において、研修医という立場にも終わりが見えてきた次の1年が大切になるとあらためて実感。

皆様、良い年越しを


2011年12月22日木曜日

火事!?


Aです。

仕事から帰って部屋でくつろいでいると、消防車のサイレンがひっきりなしに鳴っている。最初はあまり気にしていなかったが、あまりに長く、さらにその音が近くなってきたので、Bと2人で ”もしかして、うちのアパートだったりして” と冗談半分に話していたのですが・・。


その後、Bが窓を開けて一言。

”うちのアパートだ!!”

”えっ!”


外を見るとパトカーと消防車がアパートの敷地内を走っている。


”これは大変なことになった!”と消防車をよく見ると・・、

                 

消防車の上に乗ったサンタが手を振っていた。
どうやらクリスマス前の巡回をしていたようだ。



冗談がキツいな。

2011年12月17日土曜日

General surgeryという虚像 その2

先日、フェローシップを終えたばかりの若手血管外科アテンディングと
胸腹部大動脈瘤の症例について電話でやり取りしていた時のこと。
前夜から腹痛、嘔吐を訴えていることを報告すると、

”じゃぁ、General surgeryにコンサルトしといてくれる?”

コンサルテーション(専門科に診療の手助けを依頼する)が日常診療において
頻繁に行われる米国の医療に慣れてしまっている自分も
さすがにこの発言には驚きと失望を感じずにはいられませんでした。

米国一般外科専門医資格を持った血管外科医が、
腹痛患者のコンサルトをしなければいけない時代になったのか?


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現在、米国の一般外科レジデントの8割程度が5年間のレジデンシー終了後、さらなる専門分野の修練を行うべく、1−2年間のフェローシップの道へ進みます。
ACGME認定の血管外科、小児外科、外科集中治療、手の外科フェローシップに加えて、大腸直腸外科、腫瘍外科、心臓胸部外科、減量外科、腹腔鏡外科、内分泌外科、移植外科、外傷、熱傷外科などさまざまなフェローシッププログラムがあります。

これらのフェローシップに応募するには、5年間の一般外科を終了する必要があり(外科集中治療や一貫プログラムなどの例外あり)、当然レジデンシー期間中にもこれらの専門外科をローテーションするわけです。

このフェローシップというシステムが、現在の米国一般外科トレーニングを変貌させた要因の一つであると個人的には考えています。

フェローシップをもつプログラムは、大学病院や大規模総合病院であることが多く、当然ながら同じ施設で一般外科レジデントも同時にトレーニングを受けています。

例えば、A総合病院には1年間の大腸直腸外科フェローシップがあり、毎年1名のフェローが勤務しているとします。それと同時に、一般外科チーフレジデント(5年目)もこの大腸直腸外科をローテーションするカリキュラムになっています。大腸直腸外科手術は、”一般外科医として必要な手技”であると考えられています。来週月曜日に、稀な手術があるとします。そのような場合、当然フェローは手術に入りたいわけで、チーフレジデントはこういった症例をほとんど経験できないことになります。そのチーフレジデントも、大腸直腸外科に将来進みたい場合、自分の経験が不十分と考えて、フェローシップに進むわけで、結局その下の学年の経験が同様に少なくなるという悪循環が生まれるわけです。

以前は、一般外科レジデンシーを終了した一般外科医が、日常診療で大腸手術から血管外科までカバーしていたのと比較すると大きな違いです。現在、5年間の一般外科レジデンシーを終了した後にこれら専門外科医として独り立ちするのは、特に技術的な面では難しいと感じます。少し誇張しすぎましたが、この原因はフェローシップの存在というよりも、外科手術の急速な進歩(患者と病気、それぞれの因子における手術適応の拡大や腹腔鏡、ロボット手術など学ばなければいけない手技の増加、など)、社会から要求される診療レベルの変化などの要因の方が大きいと思われます。

フェローの存在が一般外科レジデントの手術経験に与える影響は少ないというデータがありますが、これには賛同できません。どう見積もっても、フェローがいなかったら一般外科レジデントがおこなう手術の数、難易度は上がります。全米の一般外科レジデントを対象としたアンケート調査の結果でも、大学病院のプログラム、各学年のレジデントの数が多いほど、自分の手術技能に自信がなく、フェローシップに進む必要があると考えるレジデントが多い傾向にあるのは納得できます。フェローシッププログラムの存在は有意な因子とはなっていませんが、この結果についてはいくらでも批判が可能です。


当院の血管外科では2名のフェローに加えて、昨年からは各学年1名の血管外科一貫プログラムのレジデントがいます。従来一般外科5年目のチーフレジデントは血管外科をローテーションしていましたが、来年度以降は、このローテーションもなくなるようです。

次の10年で、General Surgeryという概念もさらに大きく変わることは間違いありません。

2011年12月11日日曜日

アメリカビール工場巡り Ithaca brewing 編 その2


今回のIthacaを目的地として選んだのは、
Ithaca brewing companyを訪れるためです。

昨年、たまたま近所のbeer restaurantで飲んだ、Ithaca Thirteenという
ビールが自分の好みに合っており、それ以来ちょくちょく購入していたのですが、
製造中止となったために入手難となっていました。

工場にはまだ在庫が残っているかも、という考えから今回の旅を計画したわけです。




Ithacaのはずれに工場はあります。

Tasting roomはこじんまりとしており、地味な感じ。
肝心のThirteenは・・品切れとのこと。

こうなったら、町で売れ残っているThirteenを探すしかない、ということで、
Ithacaのダウンタウンを検索。

どうやら、Ithaca restaurant week中で、街では各レストランが
参加したチャウダーコンテストが開かれていた。
せっかくなので、シーフード系のチャウダーをいくつか試食。

ウェブ上では、ThirteenがOn tapとなっていたBeer pubにもなかった。

あきらめて夕食を食べ。

ホテルへ帰る途中、軽い気持ちで最後に入ったpubでとうとう発見。

Thirteenを飲むのもおそらくこれが最後になるだろう。

アメリカビール工場巡り Ithaca brewing 編 その1


ひさしぶりのビール旅行です。
Thanksgiving以降は忙しい日々が続いていましたが、A/Bともに一段落着いたために週末を利用して出かけることとしました。

今回の目的地は、New York州北部、いわゆるupstateにあるIthacaです。
日本人には全くといっていいほどなじみのない地ですが、アメリカ人にとっても同様のようです。Cornell Universityのあるcollege townとして知られている程度です。ちなみに上記写真は、大学キャンパス内にあるホテルからの眺め。壮観でした。

Hersheyから車で4時間ほど



途中の山間部は雪景色

Ithacaという町、実際に訪れてみると
実にきれいなsmall college townでした

ビールレポートは次回

2011年12月6日火曜日

General surgeryという虚像 その1


現在ローテーション中の血管外科では、今週末にIntegrated vascular surgery residency program(血管外科一貫プログラム)の採用面接があるようだ。以前は(今でも大部分のレジデントはこの方法を選択するのであるが)血管外科専門医になるには5年間の一般外科レジデントを終了した後に、2年間の血管外科レジデントを終了しなければならなかったが、この血管外科一貫プログラムでは5年間で血管外科専門医が取得できる。一般外科専門医は取得できないのであるが、彼らが将来的に血管外科として診療していくには全くと言っていいほど必要ない肩書きであろう。

General surgery(一般外科)チーフレジデント(5年目レジデント)たちの来年以降進むフェローシップがほぼ決定したこの時期、彼らの口から”来年以降はどうせ関係なくなる疾患だからな”という発言がちらほら聞かれる。

じゃぁ、今現在研修している"General surgery"って彼らにとって何の意味があるのであろうか?

現在、米国の大学病院では、大腸がんと胆石の手術を同時に行う場合、大腸の手術は大腸直腸外科医が、胆石の手術は低侵襲外科医が施行する、といったような1980年代以前の一般外科医が聞いたら卒倒しそうな診療が普通に行われている。

General surgeryの本場であるはずの米国に来て、General surgery residentとなって感じたのは、”もはや、米国でGeneral surgeryの存続は(rural area以外では)不可能”ということだ。




2011年12月1日木曜日

肩透かしを食らう


ことあるごとに書いているけれども、この国の人々とdiscussionする機会ごとに感じるのが、”興味のポイントがズレる”ということ。何事も理論的にすっきり物事をまとめようとする傾向がある。

臨床の場でも、各症例に対するアプローチが非常に”表面的”な気がしてならない。こちらが”興味深い”と思って話を広げようとしても、”はい、次”、みたいな対応をいつもされる。

日本では、症例報告を発表する機会が豊富にあるし、症例報告を受け入れる雑誌も非常に多い。症例報告なんて・・という人もいるが、各症例をじっくり掘り下げて次に活かす日本人の姿勢は必要だと思う。当然、これは自分の限られた経験に基づくものなので一般化して話すことはできないのだが。

ヨーロッパ出身やアフリカ出身の人々はまた、さらに違った”ポイント”を持っているような気がする。それらに必ずしも自分が賛同できるとは限らないのだが、そういった”思考回路のdiversity”が医療の質向上にも必要だろうし、一流といわれる施設ほど”思考回路のminority”に対する門戸が広いと最近感じる。

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久々にBです。私も同じようによく感じます。職場、実習先、学生組織、クラスディスカッション、場面や話題は違えど、同じような違和感をほぼ日常的に覚えます。でも、同時に、相手からしたら私は彼らの違和感の原因だろう、とも。「どうしてそんなことに(いつまでも)こだわるの?」と。

今日のグループ課題のプレゼンでもそのような状況でした。慣れてしまっているとはいえ、なんだか不完全燃焼。先月だったか、「もっと、自分を理解させるように話さないといけない」と言ってくれた教授は正しい。でも、同時に、そうさせる環境も欲しいよね、とも。


>一流といわれる施設ほど”思考回路のminority”に対する門戸が広いと最近感じる。

これは言い得ていると思う。