2012年2月25日土曜日

グラム染色

Aです。

土曜日の日勤。

昨晩来院した患者が急変。重症軟部組織感染症が疑われた。細菌検査室からグラム染色陽性の結果が報告されたものの、曖昧な報告だったために自ら細菌室で確認する事に。

アメリカに来てから初めて、約4年ぶりにグラム染色のプレパラートを自ら顕微鏡で検鏡。日本では研修医時代から数えきれないほどのグラム染色をおこないましたが、米国の研修医は一切しませんし、感染症フェローでさえ、標本のつくり方(見方も?)を知りません。

どうやら自ら標本を確認しにくるような輩は他にはいないらしく、週末でただでさえ人手の少ない忙しい合間をぬって検査技師さんが約30分ほど検鏡したり、標本を作り直したりとつき合ってくれました。


グラム染色もそうですが、日本で診療をしていた時には当たり前のようにできていたこと、頭に入っていた知識がどんどん消えていっています。新しい事をその分学んでいるからなのか、それともただ単に自分の努力不足、歳のせい?なのか。。。

研修医の頃は、知識や経験は増え続けていくものとばかり思っていましたが、ここにきて”(意識して自らアップデートしなければ)同時に失われていくもの(特に知識)”ということを実感しています。


ちなみに日本では遅れていると言われていた臨床感染症学。90年代後半から2000年代にかけて米国で学んだ医師達が日本の感染症学を盛り上げていることは若手の医師なら周知の事でしょう。個人的には、日本の医学生、研修医の方が米国の研修医(とくに内科系以外の研修医)以上に感染症や抗生物質の知識は豊富であるし、グラム染色なども積極的におこなっている印象を受けます。かつて米国で学んだ事を日本に持ち込んだ医師達が、古き良き米国の伝統を受け継ぎ、本場米国ではもはやその診療スタイルは見られなくなった、というのは一般外科も一緒かもしれません。

2012年2月22日水曜日

Surgical residency in evolution, or regression? その1

Aです。


早いものでもう2月も下旬に突入。


地元のcraft brewery, Troegsでは、この時期限定のビールが例年より一ヶ月ほど遅れてリリースされました。アメリカBest Beer50にも選ばれる逸品です。


毎年この時期は、ビザの更新やTax returnの手続きなど面倒な事が重なります。相変わらず一喜一憂の日々が続きますが、もうすぐ返ってくるABSITEの結果も気になるところ。



前にも触れたことがありますが、毎週開かれるチーフレジデントミーティング。PGY-4/5が集まってプログラムディレクター達とさまざまな議題について話し合います。ただ、実際は雑談が8割といったところでしょうか?建設的なことはほとんど生まれないためかなりの頻度でパスしているのですが、今週は自分がローテーションしている外傷・救急外科の当直体制を一新する案がディビジョンチーフから提案されるということで出席することに。

内容としては、喜んで賛成できるものではありませんでしたが、決してひどいものでもなく、まぁいいか、と思っていましたが・・、

当プラグラムでは、4年目がローテーションすることになっている外傷・救急外科ローテーションの当直に月1日だけ5年目レジデントがカバーする(6月までの残りの4ヶ月間で各自一回のみ)という案に5年目レジデントのひとりが、

”ただでさえ自分のローテーションで週末の当直が月2回あるのにこんなの不公平だ!”と猛反対。

”休みはその分、平日にとれば問題ないはずだが、”というプログラムディレクターに対して、

”その分、手術経験が減ってしまうじゃないか!”とこれまた反論。

っていうか、残り4ヶ月間のうち、1日休むだけでどれだけ手術経験に影響がでるの?普段は興味のない症例はどんどんジュニアレジデントに症例を譲っているのに・・。

その後も皆が、あーだこーだ、ここが気に入らない、そこをもっと変更できないかなど、まぁよくもそこまで図々しいことを平気で言えるなーと感心していまうくらいの"Complain"のオンパレード。

結局、この案は棄却された。

翌日、外傷・救急外科部門のアテンディングたちとこの話になり、ひとりが、

”いつから一般外科レジデンシーに民主主義が導入されるようになったんだ!”と激怒。他にも、

”自分がレジデントの時にそんな事言ったら即クビだっただろうな”とのコメント。

上記のようなプログラム≦レジデントといった構図が生まれる要因としては、各プログラムがACGMEの厳しい監視下に置かれており、”週80時間労働ルール”に代表されるようなregulationを破れば、即プログラムが閉鎖の危機に追い込まれるという事実があります。


もし、プログラムに不満を抱えているレジデントが、ACGME RRCに、”うちのプログラムでは、勤務時間のviolationが日常的に起こっており、プログラム側もこれを黙認している”、という内部告発をすれば、そのプログラムは存続の危機にさらされます。



現在のシステム(特に大学病院プログラム)では、レジデントがアテンディングを
辞職に追い込む事も可能なくらいのチカラを持っている事は明らかです。

2012年2月14日火曜日

Las Vegas



Aです。



学会に参加するために一泊でラスベガスへ行ってきました。2年ぶりですが、やっぱり学会で行くところではない。往きの飛行機も周りが観光気分で盛り上がっているなか、独りだけ機内でスーツ姿だし。








しかも、自分は学会初日の朝7時半からの発表のため、前日に到着してもやる事がない。ギャンブルや買い物は興味ないし。







そんなわけで、ジムで汗を流した後、ホテル近くのWhole Foodsでビール探し。Whole Foodsは全米どこへ行っても良質のビールが揃っている。とくに地元産のビールを多く扱っている。今回はアメリカ西海岸デンマーク産のIPAを試してみた。








学会の感想としては(といっても会期3日間の初日午前中のみの参加であったが)、
  • いくらレジデントや医学生中心の小規模なセッションとはいえ(発表3分のみ)、事前のスライド登録をしていなかったり、寝坊したのかは不明であるが、現れなかった発表者までいたのには少し驚いた。
  • いつも思うが、やはりアメリカ人でも発表の上手、下手がある。直前まで原稿を暗記している彼らをみるとなぜかほっとする。ただ、上手い人は本当に上手い。
  • セッションの合間のロビーでの会話は未だに慣れない。特に見ず知らずの人に話題を振って話を膨らませるのは相当難しい(たぶん不可能)。
  • アメリカにおける外傷患者のデータベースを使った研究を対象としたセッションに参加。このデータベースからこれまでに何十、何百という研究がなされている。ほぼ研究し尽くされた感があると個人的には感じていたが、まだまだあるものだ。Johns Hopkinsの外傷部門の連中なんかは毎日研究テーマの事ばっかり考えているんじゃないかとさえ感じる。彼らの論文、このデータベースを使ったもの以外ほとんど見かけた事がない。

2012年2月12日日曜日

Precision Medicine


週末の夜勤、術後に腹痛を訴えて入院した患者のベットサイドにて。
日勤チームからの申し送りによると、軽度の創感染が認められるものの、腹痛に関しては今のところはっきりとした原因は分かっていない。

”創部の発赤に対しては抗生剤で今晩は様子をみましょう。腹痛に関しては血液検査や画像検査の結果からは明らかな原因は認められませんが、定期的に診察をおこないます”と患者、家族に説明。

すると家族から、
”何時間様子をみるんですか?何時間で抗生剤が効いているかどうか分かるんですか?”
”彼は未だに8−9/10の痛みを訴えているんです。原因がはっきりしないってどういう事ですか?次に何を調べるんですか?”と強い口調での質問。
明らかにいらだっている。

こういった状況では、患者、家族の訴えを根気強く聞くのが一番と考えているが、それでも彼らは依然として納得いかない様子。

”正直に申し上げますが、今のところ腹痛の原因ははっきりと分かりません。残念ながら医療には未だに分からない事が多いんです、ロボットを使って手術をしている21世紀の現在でも

こう述べると、家族の態度が一転。
その後の説明にも納得してもらったようであった。

今朝の引き継ぎの際には、腹痛も皮膚の発赤も軽快していた。
ただ、腹痛の原因は結局分からず終いである。

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上記のようなやりとりは、日常診療で頻繁におこなわれる。
これらを英語でおこなうのは渡米当初は非常に難しく、自分には不可能ではないかと
さえ思えたが、なんとか今では対応できるようにはなった。

たまたまNew England Journal of Medicineのホームページを帰宅前にみていたら、
以下の記事の題名が目に入った。


実際の記事の内容は自分が想像したものとは異なっていたが、
昨夜のこともあり、いろいろと考えさせられた。




2012年2月5日日曜日

Another February weekend


今年は暖冬といわれているが、それでもやっぱり寒い。

この時期は、全体的に(本当にすべての面において)どんよりとした雰囲気が漂う。
自分も周りの人々も、すべてがスローで物事がなかなか進まないのだが、
ここでの頑張りが春以降に成果としてあらわれる(と信じている)。

そんな2月の週末は、こまごまとした作業をこなしているうちに終わってしまった。

それでも昨夜はBと共にLancasterの友人宅を訪問。
韓国系アメリカ人の彼と話すとなぜかスッキリする。